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症例紹介11:犬>腫瘍>小腸>GIST(消化管間質腫瘍)

犬の小腸に発生した巨大腫瘍(GIST:消化管間質腫瘍)

キーワード犬、腫瘍、小腸、GIST、巨大腫瘤

「あすなろ動物病院」では、多くの飼い主様に病気のことを理解していただくために、来院されたワンちゃん・ネコちゃんの病気をホームページで解説しています。
この記事と似たような病気でお困りの方は、お気軽に当院までお問い合わせください。

このページでは、「犬の小腸に発生した巨大腫瘍(GIST:消化管間質腫瘍)」の症例を紹介しています。「嘔吐、元気がない、お腹に大きな腫瘤がある」という症状で疑われる病気の1つです。

かかりやすい動物

  • 高齢(10歳前後)

患者さまの紹介

犬、ミニチュア・シュナウザー、7歳、雄、体重9.5kg

来院理由:
他の動物病院で肝臓腫瘍を指摘された。

来院時の様子と診察所見

身体診察

腹部の中央付近に可動性のある巨大な腫瘤を触知しました。

血液検査

明らかな異常は認めませんでした。

X線検査

中腹部に直径約13cmの巨大腫瘤を認めました(図の黄矢印)。

CT検査-処置前

腹部超音波検査

脾臓の尾側付近に周囲の臓器との連続性が不明瞭な巨大腫瘤を認めました。

CT検査

腹部の巨大腫瘤は小腸の一部に連続していることを確認しました。また、この巨大腫瘤によって腸間膜動脈を中心とした捻転を生じ(小腸軸捻転症)、一部の腸への血液供給が十分でないことが分かりました。他の臓器に転移を疑う所見は認めませんでした。

CT検査-処置前

検査結果から、「小腸腫瘍」と診断しました。さらに、小腸の外側に向って巨大な腫瘤を形成する特徴から、GIST(消化管間質腫瘍)の可能性が高いと考えました。また、巨大腫瘤によって腸捻転を起こしていることから、早期の手術が必要であると判断し、CT検査を終えて、そのまま手術を行いました。

手術と経過

術式:小腸部分切除術および端々吻合術

捻転していた小腸をねじれと反対方向に戻したことで小腸への血行は改善しました。腫瘤の発生している小腸の一部を部分的に切除し、吻合術(腸と腸をつなぎ合わせる手術)を行いました。病理組織検査の結果、「GIST(消化管間質腫瘍)」と診断され、GISTの発生に関与する可能性があるc-kit遺伝子変異の検査を行いましたが陰性でした。手術後は、問題なく回復し、補助治療は行っていませんが、その後、再発や転移を疑う症状は認めていません。

まとめ

GISTは、消化管に発生するまれな腫瘍であり、盲腸や小腸に発生することが多く、食欲不振や嘔吐などの消化器症状を示すことが多いといわれています。当院では、これまで胃1例、小腸3例、盲腸1例、大腸1例の6例の経験がありますが、このワンちゃんと同じく無症状で見つかるケースが多いです。腫瘤が巨大すぎるとどの臓器から発生しているのか判断が難しいですが、そのような場合には、CT検査はとても有用であると考えられます。GISTは比較的、転移性が高い腫瘍と考えられていますので、経過は十分に注意して追っていく必要はあると考えます。

ご紹介したワンちゃんと同じような症状でお悩みの場合は、あすなろ動物病院にご相談ください。

当院の業績

  1. 平松栞、小島健太郎、小島早織、江成暁子、内海恵利. 小腸軸捻転を伴った消化管間質腫瘍gastrointestial stromal tumorの犬1例. 第29回中部小動物臨床研究発表会 (2021)

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