症例紹介

症例紹介10:猫>非腫瘍>鼻咽頭ポリープ

猫の耳道内に発生したポリープ(鼻咽頭ポリープ)

キーワード猫、非腫瘍、鼻咽頭ポリープ、若齢、外耳炎、鼻づまり、息苦しさ

「あすなろ動物病院」では、多くの飼い主様に病気のことを理解していただくために、来院されたワンちゃん・ネコちゃんの病気をホームページで解説しています。
この記事と似たような病気でお困りの方は、お気軽に当院までお問い合わせください。

このページでは、「猫の耳道内に発生したポリープ(鼻咽頭ポリープ)」の症例を紹介しています。猫の鼻咽頭ポリープは若齢猫において「頭を振る、耳を引っ掻く、耳から分泌物が出る(耳漏・耳だれ)などの外耳炎症状」、「鼻づまり」、「呼吸が苦しそう」という症状で疑われる病気の1つです。

かかりやすい動物

  • 若齢猫(平均年齢1.5歳)

患者さまの紹介

猫、日本猫、7カ月齢、雄、体重2.8kg

来院理由:
保護した3カ月齢から持続する外耳炎(頭を振る、痒がる、耳漏・耳だれ)症状があり、特に右側の治りが悪い。

来院時の様子と診察所見

既往歴

保護時に猫ウイルス性鼻気管炎による結膜炎・鼻炎を認めました。

身体診察

耳道内にはクリーム色の耳垢があり、右耳道の深い位置にピンク色の腫瘤物を認めました。

若齢時に耳道に発生した腫瘤であることから、非腫瘍性の鼻咽頭ポリープを疑いました。鼻咽頭ポリープは猫の耳の奥に位置する耳管あるいは中耳に発生し、鼻咽頭(のどの方向)あるいは外耳道(耳の入り口の方向)、もしくはその両方に向かって成長します。保護時から鼻炎症状があったため、肉眼的に観察できない鼻咽頭にもポリープが発生している可能性もあります(X線検査では検出できませんでした)。耳道のポリープを切除するためには鎮静または全身麻酔が必要となるため、同時に口の中(口腔内)の検査、発生部位の確認のためにCT検査を行ったうえで、ポリープを切除することにしました。

鎮静による口腔内検査

鼻咽頭部にはポリープを認めませんでした。

CT検査

右外耳内は腫瘤による閉塞所見を認めました(図:丸内矢印が腫瘤による閉塞部位)。鼻咽頭部へのポリープは認めませんでした。

CT検査-処置前

手術と経過

術式:耳道ポリープ切除術

内視鏡を用いて、右外耳内の深くにあるポリープを内視鏡鉗子で摘出しました(図:矢印がポリープ、CT検査では丸内矢印の閉塞部位が消失)。その後は、外耳炎症状は消失しました。摘出した腫瘤の診断名は「鼻咽頭ポリープ」でした。右耳道内での再発は認めませんでしたが、8カ月後の反対の左外耳内に同様のポリープが生じ、再度摘出を行いました。

  • 耳道内ポリープ
  • 内視鏡鉗子で摘出
  • 摘出したポリープ
  • CT検査-処置後

まとめ

鼻咽頭ポリープは、若齢猫で発生することの多い非腫瘍性のポリープですが、その原因は先天的な異常なのか、後天的に猫ウイルス性鼻気管炎などの慢性ウイルス感染による炎症が関与しているのか、よく分かっていません。ご紹介したネコちゃんと同じように、耳道内ポリープだけであれば多くは治らない外耳炎で気づかれますが、鼻咽頭部にもポリープが生じると息苦しい症状が見られます。鼻咽頭部は口の奥にあるため外から分かりません。特に、外猫で多い猫ウイルス性鼻気管炎などの症状に類似しているため、見落とされることもあります。このような場合、X線検査が有用な検査であり、疑いがあれば鎮静あるいは麻酔により肉眼的に観察することで診断が得られます。当院では、これまで耳道内ポリープ単独を4例、耳道内+鼻咽頭ポリープを1例(図:矢印が鼻咽頭ポリープ)経験しています。

図:矢印が鼻咽頭ポリープ

このうち再発は1例で認めましたが、手術後にどのような治療をした方が再発しにくいかは十分に明らかではありません。

ご紹介したワンちゃんと同じような症状でお悩みの場合は、あすなろ動物病院にご相談ください。

症例紹介一覧