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症例紹介3:猫 > 腫瘍 > 乳腺 > 乳がん

猫の乳がん

キーワード猫、腫瘍、乳がん、悪性度が高い、早期発見

「あすなろ動物病院」では、多くの飼い主様に病気のことを理解していただくために、来院されたワンちゃん・ネコちゃんの病気をホームページで解説しています。
この記事と似たような病気でお困りの方は、お気軽に当院までお問い合わせください。

このページでは、「猫の乳がん」の症例を紹介しています。「高齢の雌猫の乳腺にしこりを見つけた」という症状で疑われる病気の1つです。

かかりやすい動物

  • 中高齢(9-14歳)
  • シャム猫
  • 未避妊雌

患者さまの紹介

猫、チンチラ、15歳、雌(未避妊)、体重2.85kg

来院理由:
腹部にしこりがあることに気づく。

来院時の様子と診察所見

身体診察

左右の乳腺に大小あわせて6つのしこりを認め、最大7cmの腫瘤は自壊(組織が壊れること)していました(図)。

胸部レントゲン検査

異常は認めませんでした。

複数の乳腺のしこりがあることから猫の乳がんの可能性が極めて高いと考えました。腫瘤の最大径は7.0cmであるため、ステージ3と考え、すでにリンパ節に転移している可能性が高いことが予想されました。そのため、左右の乳腺の全摘出術に併せて左右の脇にある腋窩リンパ節および下腹部にある鼠経リンパ節の摘出する計画を立てました。

手術と経過

術式:両側乳腺摘出術およびリンパ節廓清

左右の乳腺およびリンパ節を摘出しました。乳腺から少し離れた位置にある腋窩リンパ節は、乳腺からリンパ管を含め取り残しがないように注意して摘出しました。病理組織検査の結果、大きな2つの腫瘤は乳腺癌であり、右腋窩リンパ節に転移を認めました。縫合部は順調に癒合(傷が回復)しました。手術後は、補助手治療を行っていません。再発や転移の可能性は高いですが、手術後9ケ月経過した時点では再発や転移はみられていません。

猫の乳がんのステージ分類

ステージ  
1 腫瘍の大きさ<2cm、リンパ節転移および遠隔転移なし
2 腫瘍の大きさ2~3cm、リンパ節転移および遠隔転移なし
3 腫瘍の大きさ>3cm、リンパ節転移あり
4 遠隔転移あり

まとめ

猫の乳がんは多くが悪性であり、早期発見し小さいしこりのうちに対処することが望ましいです。しかし、ネコちゃんの性格によってはお腹を見せてくれなかったり、紹介したネコちゃんのように長毛種では毛が邪魔でしこりが見つけにくいため、飼主さまが気づきにくいこともあります。猫の乳がんは進行が早く、大きくなるほど、近くのリンパ節に転移している可能性が高くなります。そのため、猫の乳腺のしこりをみつけたら、できるだけ早期に対応するべきでしょう。また、乳腺のしこりだけを切除しても、再発や転移率は高いため、当院では乳腺全体の摘出だけでなく所属リンパ節を一括して摘出しています。

ご紹介したネコちゃんと同じような症状でお悩みの場合は、あすなろ動物病院にご相談ください。

当院は、乳がんで苦しむ猫を 0 にする「キャットリボン運動 別ウィンドウ表示」に賛同する提携病院です。

当院の業績

  1. Kojima K, Washizuka A. Prognostic factors in feline mammary carcinoma without distant metastasis: A retrospective, multi-institutional study in Japan. 2020.03.20 World Veterinary Cancer Congress (WVCC) 2020 [中止(延期)]
  2. 伊東輝夫、小島健太郎 Veterinary Oncology編集委員会編『腫瘍診療ガイド』 第2回 猫の乳腺腫瘍別ウィンドウ表示 Veterinary Oncology No16. 4: 90-110 (2017)

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